カール・ブロスフェルトの略歴

  • カール・ブロスフェルトは、1865年にドイツ中部で生まれ、ベルリン工芸美術学校で彫刻を学びました。
    その後、1898年にはベルリン芸術工芸大学の彫刻科の教授に就任し、「植物による彫塑」の講座の教材として、自らが撮影した植物の拡大写真を用いました。
    彼は彫刻家であり、プロの写真家ではありませんでした。彼の植物写真は、修整を加えたり人工的に構成したりすることをせず、数倍に拡大しただけですが、これらの植物写真は、自然と芸術に共通する造形美のすばらしさを示しています。
    1928年には、最初の写真集「芸術の原型」を出版、さらに1932年にも、写真集「自然の驚異の庭」を出版し、各国で注目を集めました。美術評論家のニーレンドルフは、「芸術の原型」の序文で、「彼の写真は、自然と芸術において創造意志は見事に一致していることを明らかにしている。人間が造り出した偉大な芸術の造形美、それらはすべて植物の世界にその原型があることを示している」と述べています。
    また、彼の写真集はバウハウスでも注目されました。カンデインスキー夫人ニーナが、パウル・クレーの50歳の誕生日に、彼の写真集をプレゼントにしたことはよく知られています。
    カール・ブロスフェルトは67歳で亡くなりましたが、死後、彼の作品は有機的な形態のすばらしさからフランスのシュールリアリストたちにも大きな影響を与えました。
    近年、カール・ブロスフェルトの評価は世界的に再び高まり、1998年には東京で展覧会も開催されました。カール・ブロスフェルトの写真は、わたしたちの身近に今まで見たこともないようなすばらしい世界があることをおしえてくれています。
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