かつては図鑑や本の挿絵などでよく使われ、「紙の宝石」とも称されていた木口木版画。小林敬生は、「鏡貼り」という独自の技法を用いることで、万華鏡のように広がる大画面の作品制作を可能にし、掌におさまる「宝石」から、美術作品としての木口木版画の新たな世界を切り開き、国内外で高い評価を得ている。また、小林の木口木版画という精密な作品の中には、退廃と蘇生の相反するイメージが渦巻き、妖しく美しい世界は見る者の心をとらえて離さない。
35年にわたる画業を詳細に記録し、1976年から2011年の新作まで含めた全作品359点を掲載した初のカタログ・レゾネは、より広く、深く進化を続ける作家自身を具現化したかのような、密度の濃い1冊となっている。